学校の置き勉はなぜ進まない?メリット・デメリットをまとめてみました。

つぶやき

置き勉については、ここ数年のホットな話題だと思っています。

ニュースなどで「小学生のランドセルの中身の重量が増加している」ということが取り上げられたり、文部科学省から置き勉に関する通知が出されたりしています。

この記事を書くにあたって少し調べてみましたが、「ランドセル症候群」なるものも存在するようです。
ランドセル症候群についてはこちら(知っておきたい ランドセル症候群

学習指導要領の改訂などによって、子どもたちが学習する量は、私が子どもの頃よりも増えています。
教科書が分厚くなることにもつながりますから、それに伴ってランドセルの中身はどんどん重くなります。
行き帰りが大変だと、学校へ行く気力も無くなってしまいますね。

現在担任しているクラスでも、子どもたちから「置き勉はダメなの?」という声を聞くことがあります。

置き勉は良いのか、ダメなのか。
それぞれのメリット、デメリットを少し調べてみました。

置き勉議論の前に・・・

置き勉がダメなんて、一体どうなっているんだ!!
という方のために、まずは文部科学省が学校現場に対して出した通知の、ほんの一部を抜粋して紹介します。

児童生徒の携行品の重さや量について改めて御検討の上、必要に応じ適切な配慮を講じていただきますようお願いします。

児童生徒の携行品に係る配慮について,平成30年
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/keikohin/__icsFiles/afieldfile/2018/09/06/1408967_001_1.pdf

つまり、文部科学省は「置き勉はダメ!」などとは言っていないのです。

私の勤務校では、いくつかの教科については教科書などを教室で保管しています。

置き勉のメリット

では早速、置き勉に対して積極的な考えについて見ていきます。

負担軽減

ランドセル症候群について触れましたが、置き勉によってランドセルの中身が軽くなれば、当然その分負担は軽くなります。

重いランドセルが原因で登校を嫌がる子どもが一定数いることを考えると、大きなメリットであることは間違いありません。

「私たちが小学生の頃は荷物が重くても頑張って学校へ行っていたけどなあ…」なんて思うこともあるかもしれませんが、負荷をかけるべき場面と、負荷をかけなくてもよい場面とを分ける考え方もあるのではないでしょうか。

学習面で負荷をかけるというのは時に必要かもしれませんが、一人一人距離の異なる通学に、負荷をかける必要はあまりないのかもしれません。

忘れ物が減る

置き勉のメリットといえば、やはり忘れ物が減ることでしょう。学校に置いておけば、忘れ物をすることはありません。

子どもは忘れ物の心配が減り、教師は忘れ物への対応(職員室へ行ってコピーして教室へ戻ってきて…)をする必要がなくなります。まさにwin-winの関係です。

タブレットを持ち帰るようになった

GIGAスクール構想の実現に向けて、子ども一人に一台のタブレットが導入されています。(GIGAスクール構想の実現へ 文部科学省

学校によっては、子どもたちがタブレットを毎日持ち帰っているところもあります。

おそらく全ての学校で、キーボード一体型のカバーを採用しています。それも、保護能力の高いしっかりめのカバーであることが多く、それなりの重さ・厚さになります。

子どもの負担軽減に加えて、タブレット保護(損傷や故障を防ぐ)の観点からも、ランドセルの中身を精選することが必要です。

危険に遭遇した際、逃げやすい

これは、子ども自身というよりも、保護者が感じるメリットかもしれません。

ランドセルが軽いということは、それだけ動きやすいということです。
不審者に遭遇した際、地震や火災に巻き込まれた際など、緊急時に素早く動けるのは保護者にとって安心できる材料になると思います。

置き勉のデメリット

置き勉に対して消極的な考えにも触れておきたいと思います。

家庭での学習に使う

家庭学習(いわゆる宿題)をするために、家に持ち帰る必要があるということです。ただの計算プリントでも、何も見ずスラスラ解ける子どももいれば、教科書を見直したり、自分が書いたノートを見返したりする子どももいます。

私も常々、「分からない時にはノートや教科書を見て、まずは自分でヒントを探すといいよ」と伝えています。

学校で学習した材料が家庭にあれば、保護者が「ほら、ノートにこうやって書いているよ」なんてことを言いながら、子どもの学習の様子を見守ることもできそうです。

保護者が、「今こういうことを習っているのか」「教科書やノートを大切に使ってるな」ということを把握できるのも、教科書などを持ち帰ることの良さかもしれません。

トラブル防止

置き勉がトラブルにつながる?と不思議に思うかもしれません。

置き勉によるトラブルの原因としては、「個人の所有物が、多くの人がいる場所に置きっぱなしになっている」という事実にあると考えられます。

実際に、隠す・隠される、盗難、紛失といった問題が生じたケースもあるようです。

現段階で、個人のロッカーや棚などに施錠の機能がついている学校は少ないことから、「何かあっては困る」というのが学校としての姿勢だと思います。

掃除の負担

日本の小学校では、ほとんどの学校で子どもたち自らが掃除をします。
特別活動の学習指導要領の中にも、学級活動における目標に「清掃活動」について明記されています。

イ 社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解

清掃などの当番活動や係活動等の自己の役割を自覚して協働することの意義を理解し、社会の一員として役割を果たすために必要となることについて主体的に考えて行動すること

小学校学習指導要領解説 特別活動編,平成29年

清掃活動も、学校教育の役割の一つを担っています。

机の中や、机の横のフックに、たくさんの置き勉がある場合、かなりの重量になります。
机を運ぶ際に生じる転倒や怪我のリスクを減らすという意味もあるのかもしれません。

家でふと手に取れる環境を

私は教室に、自分で買った小学生向けの本を置くコーナーを設けています。

小学生向けの小説や学習漫画、また「どうして勉強しないといけないの?」といった、生き方・考え方に関する本などをメインに置いています。

そこで『ねこねこ日本史でよくわかる 都道府県』を読んで、地理にどっぷりハマった子どもがいます。

教室保管OKにしている社会科の地図帳を「家に持って帰ってもいいですか?」と言って持って帰り、家で眺めているそうです。

ここまで熱狂的になることは珍しいかもしれません。
しかし、教師としては「ふとした時に」見れる、「国語で習ったあの話おもしろかったな」と読める、そんな環境を家庭で確保しておきたいという思いもあります。

最後に

文科省からの通知の通り、置き勉に対する考え方は変化しつつあります。
しかし、教育現場にはなかなかそのスピード感が届いていない現状もあります。

なぜ置き勉は進まないのでしょうか。

大きな課題として、そもそも全員分の置き勉を確保するスペースがない、ということが挙げられます。

学校によって、教材を置いておく資料室のような小部屋が各学年にある、という学校もあれば、教室内にすら十分な収納スペースがないという学校もあります。

「置き勉に反対ではないが、置き勉をさせてあげられる場所がない」と悩む教員もいることと思います。

これらのことから、「使用頻度の低い教科書や分厚い資料集などは置いてよい」という妥協点に着地する学校が多いのではないかと思います。

”子どもたちのため”に、何が最善なのかを考えていきたいですね。

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